特別限定無料公開「海外投資の教科書」#2

第一章『今後の日本、資産は減る一方』

日本はお金が働いてくれない国

私が海外投資を始めたのは2004年のこと。まだサブプライムローン問題も、リーマンショックも起こっておらず、米国や欧州、新興国などは好景気に沸いていました。この日本でさえ経済指標などの数字を見る限りでは、戦後最大の長期の景気拡大局面にあったのです。ですが私にはどうしても不満なことがありました。それは「資産が増える」という実感が、まったく感じられなかったということです。

たとえば銀行預金。銀行との付き合いは欠かせないのである程度のお金を預けてあるのですが、これがまったく増えていきません。それもそのはず、日本は長年にわたり超低金利政策を続けています。1年もの定期預金の利率が年0・01%というのは、いくら預けっぱなしにしていたとしても、お金が増えるということは一向にありません。

仮に100万円を1年間預けたとしたら、利息は100円です。200万円だと200円。とにかく、銀行預金は一向に増えてくれません。それなら株式投資はというと、株価はまったく上昇する気配を見せません。不動産価格も、上昇する気配すらありません。これでは、日本国内でお金を運用しても、増える実感がないのは当然でしょう。

ここで日本が抱える問題が何かを考えてみましょう

まず一つには財政赤字があります。日本の財政赤字は危機的な状況にあり、先進国の中でも最悪レベルです。

国債や借入金などを合計した「国の借金」が2015年10月時点のIMFの推計で1229兆420億円に達する見通しであることが明らかになりました。これまでに積み上げてきた借金を2016年3月1日時点の推計人口(1億2692万人)で割ると、国民1人あたりが約968万円の借金を背負う計算になります。つまり日本の国民は、この世に生まれてきた時点で、約1000万もの借金を背負う運命にある、ということです。

ここまで日本の財政赤字が膨らんでいく中で、これまで幾度となく日本国債の危機が叫ばれてきましたが、今のところ日本国債はデフォルトに陥らずに済んでいます。

その理由としてよく使われるのが「日本の国債の大半が日本人によって保有されていて、個人金融資産が1400兆円もあるから大丈夫」という理屈。ですが、この理屈は通用しなくなりつつあります。

なぜなら、頼みの綱である個人投資家の資金が海外を目指しているからです。特に香港やシンガポールの銀行に口座を開設する日本人が急増しています。それも「富裕層」と呼ばれる人々を中心として。

個人金融資産を日本全体で見た場合、こうした富裕層の人たちが全体の9割近い資産を持っています。その富裕層の資産が海外へと流出したら、どうなるでしょう?1400兆円の個人金融資産は、まさに個人によるキャピタルフライトにより目減りしていき、あてにすることはできなくなります。

もしこの動きがさらに広がったら、どうでしょうか?

たとえば、銀行から個人金融資産がどんどん流出していったとすると、最も懸念すべきは銀行の国債購入のための資力がどんどん低下していくということです。

今、銀行は預金を通じて集めたお金のかなりの部分を、企業融資に回さず、国債への投資によって金利収入を得ています。

そのため預金の流出が始まった時点で、銀行による日本国債の購入は期待できなくなってしまいます。これとまったく同じ構図が、ゆうちょ銀行にも当てはまるのです。

いうまでもなく、ゆうちょ銀行は国債の最大の買い手。そのお得意様が国債を買わなくなるということは、それだけでマーケットに多大な影響を与えることになります。おそらく、保有している国債を手放す投資家も増えてくるでしょう。

債券市場では日本国債の売り圧力が強まり、市場で売買されている債券価格は急落。債券価格の下落は、一方で長期金利の上昇とセットになっていることから、日本の長期金利が上昇していきます。それは国債を大量に発行している日本国政府の負担にもつながっていきます。

仮に国債の発行残高が1000兆円とすると、1%の金利上昇で国の利払い負担額は10兆円も増えてしまう計算になります。

つまり国債の買い手がいなくなるだけでなく、これから発行する国債の利払いも重くなるのですから、日本の財政赤字はますます深刻化の一途をたどることとなるのです。これから先の日本経済は、おそらくかなり厳しい状況にまで追い込まれてしまうでしょう。

日本の信用力の低下とともに、為替市場では円売り圧力が強まり、さらに円安が進んで、日本国内の物価水準は上昇傾向をたどります。

日本は資源・エネルギーや食糧の多くを海外からの輸入に頼っていますが、これらの取引の決済は米ドル建てで行われるケースが大半。ですから円安が進むと、その分だけ国内での円建て価格が値上がりする可能性が高まってしまうのです。

ただこのとき、資産の一部を海外の口座に移して米ドル建てで運用しておけば、リスクの回避を図ることができます。将来的に大幅な円安になったとしても、運用している外貨建て資産に為替差益が発生するため、国内物価の上昇を為替差益である程度、軽減することもできるでしょう。

つまり海外に口座を開設しておくことは、投資上のメリットとともに資産が目減りするリスクを回避できる、という利点もあるのです。

財政赤字をにらみ、政府が税制のテコ入れに向かうことは充分にあり得ます。すでに平成24年の税制改正によって、5000万円を超える海外の個人金融資産は確定申告が義務づけられましたし、マイナンバーの導入によって個人金融資産は政府の監視下に置かれたといっても過言ではありません。財政赤字がさらに深刻化した場合には、国民が持っている資産に財産税という名目の多額の税金をかけてくる可能性もあります。

こうした状況を踏まえ、自分の財産をどうやって守ればよいかということも考えていく必要があります。

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真山壮

真山壮

株式会社プレミアバンク 代表取締役 兼 CEO真山壮オフィシャルブログ
学生時代に投資に興味を持ち、株、デリバティブ取引、外貨預金、F X取引など様々な投資を体験。その後海外ファンドを中心とした海外投 資と出会い、2004 年から前職の独立投資会社で投資業務、コンサル ティング業務に従事。そこで出会った様々な人、仲間と共に2010 年に 株式会社プレミアバンク創業。2016 年からは自身が代表取締役兼CEO を務める、株式会社プレミアバンクで定期的に資産運用セミナーを開 催。自身の経験を生かした海外投資の知識やノウハウで、個人投資家 をサポートしている。

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