円安シナリオに落とし穴、米長短金利、来年に逆転も、景気後退のシグナルか(ポジション)

2018年にも米国の長短金利が逆転する――。市場参加者の間で、こんな見方が浮上している。米連邦準備理事会(FRB)が利上げを進めて短期金利が上がる一方、運用難から世界の投資マネーが米長期債に流入して長期金利の上昇を抑えるとみるためだ。実現すれば2007年以来、約11年ぶりとなる。円安シナリオの思わぬ落とし穴になるかもしれない。

「平たんな利回り曲線を想定している」。モルガン・スタンレーMUFG証券の杉崎弘一氏が予想する18年9月末の米2~10年債利回りはすべて2・05%。米長短金利差は足元で0・6%ほどあるが、今後、利回り曲線の平たん化が進むと見る。長期よりも短期の金利の方が高くなる逆イールドも「リスクとしてありえる」と指摘する。

一般的に短い金利は金融政策に連動し、長い金利は将来の景気などに影響される。期間が長くなるほどリスクは大きくなるため、通常は短期より長期の金利が高くなる。

逆イールドが注目されるのは市場参加者に米景気の後退を連想させるためだ。過去に逆イールドが起きた00年や05~07年は、FRBが断続的に利上げを進めた時期だ。その1~2年後、米景気が後退したという経験則がある。金融引き締めで「景気を冷やしすぎた」(三井住友アセットマネジメントの市川雅浩氏)のが一因とされる。

最近はFRB幹部からも長短金利差の縮小について警戒する発言が出ている。例えば、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げに反対したミネアポリス連銀のカシュカリ総裁。反対理由として「物価停滞に加えて長短金利差の縮小への警戒」を挙げた。逆イールドは「過去50年間、全ての景気後退に先行してきた」と主張する。

今回の利上げ局面はどうか。現時点で米景気の大幅な後退を見込む投資家は少ない。国際通貨基金(IMF)の予測では米国の18年の成長率は2・3%。ユーロ圏や英国を上回る。米税制改革法案も議会を通過し、景気下支えへの期待が強い。

また環境も過去とは異なる。特に大きいのが世界的な低金利だ。日米欧の主な先進国で長期金利が2%台を維持するのは米国のみ。みずほ総合研究所の高田創氏は「利回りを求める運用難民が投資マネーを米国に振り向ける」と指摘する。結果的に米長期金利は上向きづらいというわけだ。

注目したいのが円相場への影響だ。近年の円相場は日米の長期金利差との相関が強い。クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司氏は「来年も長期金利差が円相場のテーマになる」と指摘する。

逆イールドになれば、日米金利差の拡大を見越した円売り・ドル買いも盛り上がりにくい。米利上げを通じて円安・ドル高が進むとみる投資家は多いが、円安シナリオの落とし穴として逆イールドの可能性を頭に入れておきたい。

2017年12月28日 日本経済新聞 朝刊

齋藤勝利「その道のプロに聞け!ビジネスニュース」

齋藤勝利「独自の視点で鋭く解説!ニュースを斬る」

記事の解説をします。

まず”「平たんな利回り曲線を想定している」。モルガン・スタンレーMUFG証券の杉崎弘一氏が予想する18年9月末の米2~10年債利回りはすべて2・05%。米長短金利差は足元で0・6%ほどあるが、今後、利回り曲線の平たん化が進むと見る。長期よりも短期の金利の方が高くなる逆イールドも「リスクとしてありえる」と指摘する。”とあります。

本来、金利は短期が低く、長期が高いのが一般的です。考えてみて下さい。人にお金を貸すとします。

1年間お金を貸す場合と10年間お金を貸す場合、どちらがリスクがあるでしょうか。当然、長い期間貸す方が、回収するリスクが高まりますよね。

したがって、長い期間お金を貸す時にはリスクがある分、高い金利(利子)をつけますよね。

このように短期は金利が低く、長期が高いことになるが、来年の米国は2年満期のものも10年満期のものも同じで利回り差がなくなるといっています。

これが平たんな利回り曲線と言っています。

次に”一般的に短い金利は金融政策に連動し、長い金利は将来の景気などに影響される。期間が長くなるほどリスクは大きくなるため、通常は短期より長期の金利が高くなる。“とあります。

期間の短い金利は金融政策で決まります。日本であれば日銀が、米国であればFRBが決めます。一方、長い金利は将来の景気などによって変動します。

長期金利は、機関投資家等が市場で国債を売買しており景気が良い時には債券が売られ利回り上昇、景気が悪い時は債券が買われ利回り下落することになります。

現在の米国は景気が良いため、債券が売られて利回り(金利)上昇するはずです。

ただ、世界のカネ余り・低金利で運用が難しい状況です。ですから少しでも有利に運用が出来る金利が上昇する米国におカネが流入して米国の債券が買われ、結果的に利回り(金利)が低下しますので長期国債の利回り(金利)は上昇しづらいと言っています。

注目は、このようなことが進み、短期金利の方が長期金利のより高くなることです(逆イールドと言います)

過去、米国がこのような時は景気後退したという経験則があるからマーケット参加者は気にしています。

また、日米の金利差が拡がるとの期待から為替は円安傾向と予想されているが、もし金利差が拡がらないもしくは縮小すると円高に動き、日本企業の業績の伸び悩み等で株安になる場合もあります。

来年は米国の長期短期の金利に動向に注目してください。

年内のビジネスニュースはこれが最後です。お読みいただきありがとうございました。来年もよろしくお願い致します。

執筆者:コンサルティング事業部 齋藤勝利

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齋藤勝利

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コンサルタント・ファイナンシャルプランナー・証券アナリスト検定会員・ファイナンシャルプランナー(AFP)株式会社プレミアバンク
証券会社、大手信託銀行で資産運用の提案に長く従事。株式市場を30年以上見続けている経験を活かしお客様のお考えや希望に沿った提案をすることを心掛けています。また、資産運用の伝道師として多くの方に興味を持っていただけるようわかりやすい言葉でお伝えします。 株式・投信信託・資産運用でお困りの方は、齋藤勝利が適切なアドバイスを致します!!『齋藤勝利無料相談室フリーダイヤル:0120-114-516』齋藤まで、お電話かコメント欄に投稿してください。

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